舟歌

 

ポーランドで7月12日から12日間にわたってショパンコンクールの予備予選が行われ、その演奏をインターネットで視聴しました。
https://www.youtube.com/channel/UCSTXol20Q01Uj-U5Yp3IqFg

若く、将来をかけたピアニスト達の演奏にこちらの胸も熱くなります。
選抜の結果、日本人ピアニストは31名の出場者のうち13名が本大会に選ばれました。
10月の本大会も楽しみです。

ショパンコンクール課題曲のひとつである「舟歌」は、とても美しい曲で、聴くたびに心が洗われます。
曲は幕を開けるように始まり、たゆたうリズムの中にメロディーが重ねられ、ふと現れる憂いのある和音が聴く人の心をつかみます。
そしてたくさんの音で華やかに彩られたあと、最後に力強い終止形の和音が念を押すように2回響いて、物語の終わりを告げます。

「舟歌」が作曲されたのは、ショパンが36歳の時。
この頃、恋人ジョルジュサンドと心の行き違いがあり、ショパンは彼女と過ごしていた田舎町、ノアンを離れます。
健康状態も思わしくなく、階段を登るのもつらい状態でした。
サンドへの最後となる手紙に「これまでと同じように静かに待ちましょう」と書いていましたが、二人の仲が戻ることはありませんでした。
3年後には肺結核で命を落としたショパン。ままならない人生の想いを美しく描いたこの曲は、晩年の最高傑作といわれています。

たくさんのピアニストがこの曲を演奏していますが、今回はベトナム出身の世界的ピアニスト、ダンタイソンの演奏を紹介します。


2021年07月25日